トラブルの絶えない燃料コックですが、分解して検証してみました。
尚、補修用部品がほとんどありませんので分解はお勧めしません。

大まかな構成部品はこんな感じになっています。
コック本体には穴が4つあり、1と4は単独、2と3は繋がっています。
バルブ(黒い線で囲った所は凹んでおり穴二つ分の大きさです)
右上の負圧バルブが穴1に入ります。(別ウインドで開いておくと便利です)

コックの裏側はこんな感じです。

バルブ位置ONの場合

穴1→負圧バルブ→コック裏経由で穴4と流れ
バルブの凹みは2と3の位置にきます。
エンジンが止まっていれば負圧バルブはスプリングの力により
穴1へ密着していて燃料はそこで止まったままになります。

リザーブの場合

穴2→バルブの凹み経由で穴1→負圧バルブ→コック裏経由で穴4と流れ
バルブの凹みは2と1の位置にきます。
エンジンがかかっていればキャブで発生した負圧力により
ダイアフラムが引かれ穴1へ密着していた負圧バルブが開き燃料は
穴4へ行きます。

PRIの場合

PRIはリザーブ経由の燃料を使います。
穴2(2と3は繋がっています)→穴3→バルブの凹み経由で穴4と流れます。
バルブの凹みは3と4の位置にきます。
この場合は穴1を経由しませんので負圧バルブに関係なく燃料は流れます。

トラブルシューティング
1:バルブ位置ON又はリザーブで燃料が流れない場合
a:この場合はダイアフラムの穴あき
b:負圧バルブの固着
c:キャブからコックまでの負圧ホースの詰まり又は亀裂
d:キャブの負圧導入口の詰まりが考えられます

aはホースを口でくわえ息を吸い込みます。いつまでも吸える場合は
ダイアフラムの穴あきが考えられます。この場合はAssy交換になります。
bはあまり無いと思いますがコック前半分をバラスとバルブが見えますから
棒でつつくか、aの様に息を吸ってバルブが動くか目視点検してみて下さい。
あっ、タンクは必ず切り離しておいて下さいね(^_^;)
cはホース単体で息を吹きかけるかエアガン、洗浄スプレー等で導通の
確認をしてみて下さい。亀裂があったら交換です。
dはキャブのオーバーホールが必要です
負圧バルブの有効ストローク長が結構短い気もします(^_^;)
ここ一発の時はバルブ位置はPRIですね(^^)

 

2:燃料が止まらない場合

キャブに行っているホースを切り離し受け皿を置き一晩様子を見るといいです。
a:負圧バルブとコックの穴1に異物の引っかかり。
b:負圧バルブのOリング損傷
c:この変なゴムの損傷、劣化
d:この変なゴムとバルブの密着不良

aはタンクのゴミや錆が引っかかった場合は燃料は流れ続けてしまいます。
又リターンスプリングはあまり強くないのでしっかり閉じにくそうです(^_^;)
bこの場合はコックのAssy交換になります。
cこれは単品で購入できます。画像では分かりにくいですが、一部カジリが有り
役目を果たしていませんでした。
dはバルブが経年変化で腐食し、凹凸が結構ありました。オイルストーンで
面出しして、黒く囲ってある部分のエッジを削るだけで少しは良くなる気がします。

コックの切り替えが重い
ONとかPRIとか書いてあるプレートの裏にウエーブワッシャーというか
円形のスプリングがあり、それがレバーを押さえつけています。
結構錆び出ていましたのでレバー、プレート、スプリングの接点を磨き
薄くグリスを塗っておけば軽くなると思います。

燃料フィルターについて
フィルターの装着位置ですが上記の理由からコック→キャブではなく
タンク→コック間に入れるべきかと思いました。
この場合はリザーブ経路は必ず装着、ON経路は入れた方が望ましいと
思います。理由は絵のようにON経路はタンクの上層部の燃料しか流れませんので
大きなゴミは入る可能性が低いと思います。
逆にリザーブ経路はタンクの底から燃料が流れますので、かなり吸い込みます(^_^;)

 

素材は濾紙タイプとメッシュタイプがあるようですが、濾紙タイプの方が
よろしいかと思います。
せっかくキャブをオーバーホールしても、タンクが錆びていたら直ぐに
詰まってしまいます。応急処置としてONのみ使用し、リザーブ及びPRIは
使用しなければいいかもしれません(^^)